大切な腕時計の電池交換
きょう、何年も前、10年以上前に止まった腕時計の電池を交換してきました。
近くの古い時計屋さん。
レトロな感じの・・・昭和な感じの、3畳ほどのお店。時計屋なのに時が止まっているよう・・・
中には小さな机に向きあってぽつんと高齢のおじいさんが座っている。
≪だ・・・だいじょうぶかな?≫
『あの・・・電池を交換してほしいのですが・・・』
声をかけたとたんにおじいさんが動き出した。。。
いや、お店の中が動きだしたような感じがした。まるで店いっぱいにある機械仕掛の掛け時計のスイッチが入ったように。。
『どぉれ・・・』
腕時計を手にとり、スタンドライトをつけ、精密なものを見る筒型のレンズが前に付いたメガネを掛た。
そのメガネのまん前、10cmくらいのところで腕時計をレンズ越しになにやら見ている。
裏蓋をあけ、小さな小さなネジをはずし、中の電池を取り出した。
木製のいくつもある引き出しから、替えの電池を取り出し、いろいろ器具を使って交換している。
薄暗い店内の壁を見ると、針だけ動いているたくさんの掛け時計のハトやリスが、まるで私を観察しているように、じっと止まっている。
≪こわい・・・≫
子供の頃、仏間で一人でいると、何もないのに不思議と感じたあの「怖さ」のようなものを久しぶりに感じた。
『はい・・・おわったよ・・・』
腕時計を受け取った。
もう10年も止まっていた「時」が再び動きだしていた。
動いている!電池交換して当たり前のことだが、なんだかとっても嬉しい。
『これ、20年も前に自分で買った私の宝物なんですよ・・・』
嬉しくて発した言葉に、ただニコッとしてくれた。
お金を払い礼を言って外に出た。
≪フゥッ・・・≫
外に出たとたん現代へ戻った感じがした。
閉めたガラス戸からは、外の光が反射して、もう中をのぞくことはできませんでした。
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